【平時からの準備編】

§.1 基本方針

 

(1)動物避難所マップの登録種別

以下に4つを登録し、マップに掲載しております。

□動物のみ預かる民間動物避難所

□人と動物が同伴避難する民間動物避難所(宿泊施設等)

□人と動物が同伴避難する指定避難所

□ペット防災啓発拠点


動物避難所と民間動物避難所の違い

 

 

 

(2)災害時の受け入れパターン

以下の4つのパターンを想定しています。

①ペットのみを預かり、避難所がペットの生活の場となる場合

 例)ペットホテル、動物病院など

②避難者とペットが一定期間生活する場となる場合

 例)宿泊施設、民間施設など

③ペットのみを時間や日数期限などを設けて、一時的な預かりをする場となる場合

 例)レンタルスペース、ドックラン、動物病院、ペット専門学校など

④一時滞在場所のみの提供

 例)車中泊、テント泊、キャンプ場、駐車場など

 

 いずれの場合も、原則的に「避難者自らが行動し、助け合いながら避難所を運営することができる飼い主会の設置」が大切であり、そのための組織づくりを平時から準備しておくことが望ましいです。

 また避難生活が長期化した場合でも良好な避難生活が送れるように、各種感染症の対策やプライバシーの確保に配慮する等、各避難所運営に合ったルールを平時に作成しておくことや、発災後も、いち早く対応し減災が図れるよう、避難所の運営体制やルールを事前に決めておくことも大切です。

 


(3)事前作成しておいたり、啓発しておくことがの望ましいもの

 

 ①ペットの適正な飼養管理の啓発内容

(予防注射、寄生虫予防、健康診断、栄養管理方法、マイクロチップの挿入、迷子札や鑑札の装着、しつけ、防災手帳の作成など)

 ②各動物避難所におけるルール

 ③飼い主会のルール

 ④被害想定表

 ⑤避難計画(在宅避難、他への避難両方)

 ⑥スタッフの参集基準および行動計画

 

その基本となるのが、事業継続計画(以下:BCP)になります。

 各民間動物避難所に合わせたBCPは、うちトコ避難所マップにご登録の際に、ホームページへの記入事項にご入力頂くことで、作成していくことができる仕組みになっております。

しかしながら、現場を一番知っておられるのは、実際に民間動物避難所を運営されているみなさまです。

各民間動物避難所に合ったご更新を行って下さいますようお願い申し上げ、

この更新は、最低限の努力義務と位置づけさせて頂きます。

 

また国の法律、民法717条では「建物所有者の無過失責任」があり現状では、

たとえ善意であっても避難施設として開放した場所でトラブルがあった場合、その責任はすべて建物所有者のものになります。

悪質な住民たちの防止や、意図的なトラブルを防ぐために、行政の民間避難所の防災マニュアルでは、

「災害発生後、建物内や地域の安全を十分に確認した後、6時間が経過してから順次避難所などの情報を発信していく」などの措置が取られております。

このマニュアルを読み、開設時期なども、施設責任者やスタッフ間で、平時から話し合いを行っておいてください。


§.2 方針及び開設・閉鎖について

 

 台風接近や豪雨が予想される雨雲がある場合おいて、住所を置く都道府県や市区町村(以下、拠点自治体とする)が「注意報」を発令した時点で、避難所開設を検討する。また拠点自治体から「高齢者等避難」が発令された時点で開設を決定する。 長時間降り続く雨により、洪水・土砂災害・浸水等の2次災害が懸念される場合、気象状況、町内の状況、ハザードマップを勘案し、民間動物避難所の代表者および避難所運営責任者(以下、代表責任者とする)が、開設を決定する。 開設後であっても危険がある場合、速やかに撤去避難を行う。

 また閉鎖は、拠点自治体から「避難指示解除」が発令した場合、やはり周囲の安全を検討したのち避難所の閉鎖を決める。

 

 地震などの場合は、生命と安全確保が行えた上で、建物の安全および津波、液状化、地割れ、山くずれ、火災などのリスクがないと判断された場合に限り、代表責任者が、避難所開設を決定する。

 震源地に近い場合は、応急危険度判定士による「調査済み(緑)」の判定がある場合の避難所開設が好ましい。またこの建物応急危険度判定の「要注意(黄色)」「危険(赤)」の判定は、あくまで地震直後の短期間に多くの建物の判定を行わなければならない「緊急性」と、限られた調査項目で判定を行うことから、後に十分な時間をかけて被害調査を行った場合には、判定結果が異なる場合もあるという「暫定性」の二つの側面があることを考慮しなければならない。その後の詳しい調査により安全性が確認できた場合は、代表責任者のもと開設を判断すること。

 

 収容人数と受け入れペット頭数分のライフラインの確保が可能かどうかも開設にあたり重要な目安とする。

 

 民間動物避難所の閉鎖については、被害がなかった場合は、気象情報及び町内の気象状況、被害状況、避難者の状況を収集し、避難所閉鎖の適否を代表者が決定する。

 

 民間動物避難所が、長期(2週間以上)に渡り運営される場合は、可能なかぎり早期閉鎖を行うよう努力する必要がある。また自治体や他機関、多職種連携などを行い、早期閉鎖を目指す。

 

初動期では、災害発生直後の混乱した状態の中で、民間動物避難所を開設することが予想される。まずは代表責任者やスタッフ、そしてその家族(ペットを含む)の生命と安全の確保を行う。次に避難者と避難動物の生命と安全確保を行うと同時に、安定した民間動物避難所運営に向けた準備を行う。

  本マニュアルでは、災害発生直後〜発災後24時間後までの時期としているが、災害の規模(被災の程度、マンパワーの確保状況など)によって変わるものとする。 

 

*民間動物避難所の開設判断基準は、各避難所であらかじめ決めておくようにする。

 

民間避難所開設のは、原則として代表責任者が判断し、開設は、基本的に担当スタッフの協力を得て行う。 しかし、休日や夜間に突発的な災害が発生した場合には、担当スタッフの避難所への到着に時間を要し、計画どおりに避難所が開設できないことも予想されるので、様々なケースを考えて行動することが重要である。

 

 【事例】

(1)災害発生のおそれがあるとき(風水害などで避難勧告・指示があるとき) ・ 避難所開設責任者は、災害が発生したときに安全が確保できるかどうかを判断し、スタッフを参集し、避難所を開設する。 

(2)平日・日中(施設営業時間内)に突発的な災害が発生したとき、避難所開設責任者は担当スタッフ等に直ちに生命を保持する行動と周囲の安全を確認し、 応急的に避難所開設を行うかどうかの判断を行う。

(3)早朝・夜間・休日(施設営業時間外)に突発的な災害が発生したとき、避難所開設責任者および担当スタッフは、「各施設にて定めた参集基準*」に基づき参集を行い、安全と人員とライフラインが確保できた時に避難所を開設する。

 

*参集基準の作成の仕方

 ①避難所となりうる施設の被害想定を代表者及び担当スタッフ全員で検討

 ②代表責任者および担当スタッフ全員の避難所となりうる施設までのハザードマップを全員で確認し、道中のリスクや、ハザードマップ上では分からないリスク(例 崩れそうな塀、落ちてきそうな看板、停電して信号がつかない等)を考慮し、参集に適した人材を検討する。

 ③参集免除規定を決める。(妊婦、乳幼児がいる。介護中の親がいる。距離が遠いなど)

 

大切なのは!

①「ひととペットの命を守ること」「ケガをしないこと」

②「本当に施設が安全か?」⇒安全の確保

*施設の安全確認チェックリストを参考

 

 

出典:宮城県建物等地震対策協議会http://taishin-miyagi.net/dl-check/285

 

施設の安全確認 

 代表責任者等は、民間動物避難所の安全確認のため、周辺の被災状況を確認する必要がある。

このため、民間動物避難所の開設前に以下の事項を確認する。 

(1)避難所への立ち入りは、建物の安全性(倒壊や火災発生のおそれ) を十分確認し、目視で危険があると判断した場合は、代表責任者等が施設への立ち入り禁止を指示すること。

 (2)代表責任者等は、目視して、明らかに危険が認められる箇所は、避難者等が近づかないように措置を講じること。

(3)代表責任者等は、周辺を確認し、二次災害のおそれ(火災、土砂災害、浸水等の危険性) がないことを確認すること。